建築基準法の高さ制限!隣地・道路・北側斜線制限!緩和規定も
一級建築士試験の法規では、建築基準法の高さ制限が必ず出題されます。
高さ制限は絶対高さ制限と斜線制限がありますよね。
今回は隣地・道路・北側斜線制限と緩和規定について見ていきましょう。
目次
建築基準法の高さ制限
建築基準法の高さ制限には、絶対高さ制限と斜線制限があります。
絶対高さ制限
第一種低層住居専用地域または第二種低層住居専用地域内の建築物の高さは、
都市計画で
10mと定められた地域では10mを、
12mと定められた地域では12mを超えてはなりません。
建築物の高さは地盤面からの高さをいいます。
塔屋(ペントハウス)の用途が階段等で、その部分の水平投影面積が建築面積の1/8以内で、しかもその部分の高さが5m以下である場合はその部分は10mまたは12mの高さの限度に算入しません。
斜線制限
建築物の各部分の高さの制限には、
- 道路幅員が高さに関係する「道路斜線制限」
- 隣地境界線に面する部分側の高さ制限である「隣地斜線制限」
- 第一種・第二種低層住居専用地域と第一種・第二種中高層住居専用地域のみに関係する「北側斜線制限」
があります。
道路斜線制限
前面道路の反対側の境界線から、一定の勾配で示された線の内側が建築できる範囲となります。
道路斜線制限の高さは道路中心の高さからの高さです。
地盤面からの高さではないので注意しましょう。
勾配
住居系 | 第一種・第二種低層住居専用 第一種・第二種中高層住居専用 第一種・第二種住居地域 準住居地域 |
1.25 |
商業・工業系 | 近隣商業 商業 準工業 工業 工業専用 高層住居誘導地区 |
1.5 |
適用距離
道路斜線制限は適用距離内においてのみ影響します。
適用距離は容積率によって定められています。
この場合の容積率は、指定容積率と道路幅員による容積率の厳しい方です。
異なる用途地域に渡る敷地の場合は加重平均によって求めた数値をその敷地の容積率とします。
加重平均の求め方は、それぞれの容積率で延べ面積の限度を求め、それを合計したものが全体の延べ面積限度となり、それを敷地面積で割ったものが敷地全体の基準容積率となります。
その基準容積率に応じて適用距離を適用します。
適用距離は法令集の「別表3」を参照して調べます。
隣地斜線制限
隣地斜線制限の高さは地盤面からの高さです。
隣地斜線制限の隣地境界線上の高さ及び勾配は次のとおりです。
住居系
h=20m+1.25l
商業・工業系
h=31m+2.5l
注意すべきは商業・工業系の勾配です。
1.5ではなく2.5です。
間違えないようにしましょう。
第一種・第二種低層住居専用地域は絶対高さ制限があるため隣地斜線制限はありません。
建築基準法の北側斜線制限
北側斜線制限は、第一種・第二種低層住居専用地域と第一種・第二種中高層住居専用地域に適用されます。
地盤面からの高さです。
第一種・第二種低層住居専用地域
h=5m+1.25l
第一種・第二種中高層住居専用地域
h=10m+1.25l
建築基準法の高さ制限における緩和規定等
緩和規定等をまとめてみました。
絶対高さ制限の緩和規定
都市計画で高さが10mと定められた第一種・第二種低層住居専用地域であっても、一定の面積の空地と1500m2以上の敷地面積があり、かつ特定行政庁が認めるものの高さの限度は12mとすることができます。
道路斜線制限の緩和規定等
道路斜線制限の緩和規定です。
セットバックする場合
老ロ境界線より建築物をセットバックして建築する場合、交代した距離に相当する数値を道路の反対側の境界線から向こうにとり、その位置を道路の反対側の境界線とみなして道路斜線制限を適用します。
2以上の地域に渡る場合
敷地が2以上の地域にまたがる場合は道路に接する用途地域の適用距離を適用し、斜線はそれぞれの地域の勾配を適用します。
こんな感じに斜線に段差がつきます。
住居系地域で道路幅員12m以上の場合
住居系の勾配は1.25ですが、前面道路幅員が12m以上ある場合は前面道路の反対側の境界線からの水平距離が、前面道路幅員の1.25倍以上の区域内においては道路斜線の勾配を1.5とします。
2以上の前面道路がある場合
幅員の最大な前面道路の境界線から、
その幅員の2倍以内かつ35m以内の区域及び
その他の前面道路の中心線から10mを超える区域
は、全ての前面道路が、最大な前面道路の幅員があるものとみなされます。
これは学科試験のみならず、製図試験でも必要な知識ですから、必ずマスターしておきましょう。
前面道路とみなす道路等
土地区画整理事業を施行した地区等で、特定行政庁が指定するものは、その街区の接する道路を前面道路とみなします。
また、敷地日接して又は敷地内に計画道路もしくは予定道路がある場合で、特定行政庁が交通上・安全上・防火上及び衛生上支障がないと認める建築物はその計画道路又は予定道路を前面道路とみなします。
前面道路の反対側に公演、広場、水面等がある場合
前面道路の反対側に公演、広場、水面等がある場合は、その公園等の反対側の境界線を道路境界線とみなして道路斜線制限の規定を適用します。
2以上の前面道路がある場合も同じです。
道路面と敷地の地盤面に高低差がある場合
敷地の地盤面が前面道路より1m以上高い場合、その高低差から1mを引いた値の1/2だけ前面道路が高い位置にあるものとみなします。
前述しましたが、道路斜線によって求めた高さの起算点は道路の中心からの高さです。
試験では地盤面からの高さの最高限度が求められるので、敷地と道路に高低差がある場合はくれぐれも注意してください。
隣地斜線制限の緩和規定
隣地斜線制限の緩和規定です。
セットバックする場合
高さが20mまたは31mを超える部分を有する建築物は、その部分の後退距離を隣地境界線の向こうにとり、その位置を隣地境界線とみなします。
敷地が公園・広場・水面等に接する場合
敷地が公園等に接する場合、これらに接する隣地境界線はその公園等の幅の1/2だけ外側にあるものとみなします。
つまり、公園等の中心を境界線とみなすということですね。
隣地と敷地に高低差がある場合
敷地の地盤面が隣地の地盤面より1m以上低い場合、その敷地の地盤面はその高低差より1mを引いた値の1/2だけ高い位置にあるものとみなします。
道路との高低差の場合とは逆になりますので注意してください。
北側斜線制限の緩和規定
北側斜線制限の緩和規定です。
北側に水面等がある場合
敷地の北側又は北側の前面道路の反対側に水面・線路敷等がある場合、当該境界線はその水面等の幅の1/2だけ外側にあるものとみなします。
隣地の地盤面と高低差がある場合
北側隣地の地盤面より1m以上低い場合、その敷地の地盤面はその高低差から1mを引いた値の1/2だけ高い位置にあるものとみなします。
今回は
- 建築基準法の高さ制限
- 隣地斜線制限
- 道路斜線制限
- 北側斜線制限
- 斜線制限の緩和規定
という内容でお送り致しました。
高さ制限は一級建築士試験法規において必須項目です。
計算問題が出ますので、問題をたくさん解いてなれておきましょう。
同じ高さ制限に関係する天空率や日影規制については別の記事で触れようと思います。