大河ドラマの中でも歴代最高の面白さとの評判も出てきている三谷幸喜さん脚本の『鎌倉殿の13人』。
第18回「壇ノ浦で待った男」にて、源義経が劣勢を跳ね返すための策として相手の船の漕ぎ手を討つ戦法を選択しました。
その判断が功を奏し見事平家を滅ぼすことになったのですが、この戦法は敵味方とも不評となり結果的に源頼朝の信頼を損ねるまでに至る要因の一つともなっています。
いったいなぜ、義経の考えた作戦の評判が悪かったのか考察してみました。
また、義経は中村獅童さん演じる梶原景時に陥れられるようにして兄である源頼朝の信用を失ってしまいますが、その理由についても見ていきましょう。
源義経の漕ぎ手を討つ戦法が不評だった理由
源義経が壇ノ浦の戦いの際に用いた「漕手を討つ」戦法。
これがなぜ敵味方ともに不評だったんでしょうか?
山口県の彦島を拠点としていた平氏は海上戦を得意としていたそうで、源氏を海に誘い込む形をとったようでした。
平氏・源氏ともに馬で移動していますから元々は船がなく、現地調達しなければなりません。
当時船を進める動力は人でした。
漕ぎ手は地元の船業者や一般人だったようですから、源氏・平氏いずれの味方でもありませんよね。
2022年4月からのロシアによるウクライナ侵攻でも、ロシア軍のウクライナ市民への攻撃は当然のことながら非難されています。
これと同じように、民間人への攻撃はいつの時代もタブーであったはず。
つまり、義経のとった戦法は道徳的に良くないことだったのでしょう。
源義経が梶原景時に陥れられた理由とは
見事平氏討伐に成功した源義経ですが、梶原景時に陥れられるかっこうで源頼朝の信用を失ってしまいます。
いったいなぜでしょうか?
中村獅童さん演じる梶原景時。
三谷幸喜さん脚本の『鎌倉殿の13人』では、この人物は源氏の棟梁である源頼朝に忠実で、ことあるごとに潜入捜査官のような働きをしています。
今回の平氏討伐に関しても、源義経を監視する裏の任務がありました。
景時自身は、義経の戦(いくさ)に関する才能を高評価していて良き理解者のように見えましたが、あまりの義経の実力に驚きや恐怖を感じていたのも事実。
つまり、義経が凄すぎて将来的に頼朝の脅威になりかねない、と判断したのです。
現に京都ではポスト頼朝に義経を推す声が起こっていたといいますし、義経本人にその気がなくても、彼を担ぎ上げる環境ができていたとも考えられますよね。
頼朝は、わずかな不安も小さいうちに刈り取っておくことを大切にしていたようなので、梶原景時から報告を受けた段階で義経を切ると決めたのでしょう。
小栗旬さん演じる北条義時は視聴者の声を代弁するかのように、直接会って話すべきと頼朝と義経双方に進言しますが、いずれも両者は溝を深める方向に動いていってしまうのでした。
ということで今回は『鎌倉殿の13人』18回の「壇ノ浦で待った男」に関する内容でした。
史実をもとにしているとはいえ、脚本家によって大きく物語そのものの印象が違ってくるものですね。
今後の展開にも注目していきましょう。