EPSは一級建築士の学科試験「環境設備」で出題されるキーワードです。
いったいコレの意味は何でしょうか?
電気室と関係があることは分かっても、根本的な理解が無いと中々知識として定着しません。
なんとなく勉強しただけでは右から左へスルーしていってしまうEPS。
そこで今回はEPSを特集してみました。
ちょっと掘り下げて記憶にとどめておけるように、見ていきましょう。
EPSって何?意味を確認してみよう
EPSは電気のケーブルが通る空間のことで、Electric Pipe Shaftの略です。
エレクトリック・パイプ・シャフト。
建物外部から幹線ケーブルで引き込んだ電気を、建物の階をまたいで分電盤や制御盤に繋ぐために床スラブを貫通させる必要がありますよね。
スラブの貫通孔があまり多くなると耐久性に影響しかねません。
そのためある程度配線をまとめてEPSで上下階を繋いであげるのです。
EPSは一般に、ワンフロアの1〜2%の面積が必要で、事務所ビルの場合は500〜700m2ごとに1箇所設置することになっています。
設置場所は維持管理が容易な場所で、負荷(照明やコンセント)の中心付近が最適だということです。
一見、一級建築士試験に出てくる大規模な建築物ではEPSの計画が難しそうですが、意外とシンプルですので、次を見てみましょう。
EPSと電源や電気室との関係
一級建築士試験に出てくる大型の建物の場合、電気は電線から空中を通さず、地面の中を通して建物内に引き込みます。
電気室(受変電設備)でいったん電圧を下てから、各階に配線するため、EPSは電気室の直上付近に設置するのが普通です。
また電気室は引き込み距離を短くすることとメンテナンスに配慮するために前面道路に面した外周部に設けることがセオリーのようですね。
学科試験の段階では設置位置についてまでは木にする必要はありませんが、製図試験に進んだ際にはこのことを強く意識しながらプランニングを行う必要がありますから、覚えておいてくださいね。
もっとも、EPSの位置が原因で落ちるようなことは無いと思いますが、そうした意識をできるくらい思考にゆとりがある状態で受けるようにした方が有利です。
EPSは建築物により必要ない場合もある?
EPSは延べ面積1000㎡を超えるような大きな建物で、なおかつ使用電力が大きい場合に必要となるため、一戸建て住宅のような小規模な建築物の場合には設置の必要はありません。
ですが、鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨造(S造)の建物の場合は各フロアが鉄筋コンクリート造のスラブとなることが一般的ですから、プランニングの際に設備シャフトを計画して予め貫通するようにしておくことが必要となります。
一級建築士の製図試験では、2000㎡程度の建物が出題されますから、必ずEPSが必要になると思っていましょう。
最近の一級建築士製図試験は屋上に必ず太陽光発電パネルを設けますから、屋上のパネル配置も考慮してEPSを計画します。
いくつも考慮することがあってついて行けないと感じるかもしれませんが、とりあえず学科試験勉強の段階では、製図のことは考えず、全力で一次試験を突破することだけを考えてください。
EPSを外部露出させたパリのポンピドゥー・センター
一級建築士試験学科の科目「計画」の有名建築物関連で出題されることもある、フランス・パリの「ポンピドゥー・センター」。
正式にはジョルジュ・ポンピドゥー国立芸術文化センターといいます。
- この建築物は、建築躯体部分と、
- 排気ダクト
- 給排水
- 電気
- 管理エレベーター
のシャフト部分とを分離して屋外に露出させています。
しかもそれをデザインの一部として前面に押し出しているという非常に画期的な建物ですね。
外観も系統ごとに配色され非常に意匠性が高く、パリの観光名所の一つとなっています。
シャフト関係をすべて外部に持っていくということは、設計側からすると計画しやすいですね。
それと同時に維持管理もしやすいですし、外部にありますから補修工事等も容易です。
パリを訪れる際にはぜひ立ち寄っておきたいところではないでしょうか。
ポンピドゥー・センターの場所
パリの中心部に位置し、ルーブル美術館やオルセー美術館からも徒歩圏内です。
以上、今回はEPSについてでした。
学科試験に出てくるEPSについての内容でしたが、製図試験についても触れました。
環境設備の知識は製図試験に望む際に非常に重要な知識となりますので構造と合わせて環境設備は落ち着いて勉強して、きちんと理解できるようにしましょう。
では引き続き頑張っていきましょう。